伝紀貫之筆。
第一種。
重文。
『古今集』巻九断簡。
この断簡を含む第九巻きもくじきおうごを豊臣秀吉が愛蔵し、のちに高野山文殊院の木食応其(興山上人、一五三六1608)に贈られ、長らく高野山に伝来したところから、同種の古今集切を「高野切」と呼ぶようになった。
料紙は麻紙とも雁皮質の紙ともいわれるが、全面に雲母箔が撒かれている。
第一巻の巻頭に比べると縦長の字となり、運筆に速さがみられ、墨つぎも息が長くなり、表現に個性的な局面がよく出ている。
阿部仲麻呂の歌一首とそのあとに詞書が続き、巻頭のゆったりとした空間を一段と広く感じせしめている。
【寸法】全体―縦105.5 横55.2 本紙縦25.8 横44.0