伝小大君筆。
『麗花集』断簡。
『麗花集』の同一本の巻頭断簡は伝公任筆「麗花集切」と呼ばれ、他の部分は伝小大君筆「香紙切」となっている。
もとは冊子本で、料紙は薄黄色の紙に薫染と防虫を兼ねて丁子の汁を刷毛染にしたので「香紙切」の名がある。
長鋒の筆を自在に駆使した連綿体のすぐれた書風で、伝小大君筆「御蔵切」とは多少趣の異なる筆法がみられるが、ともに女性の優美な能筆である。
類似の筆跡に、「御蔵切」が女性筆者として手鑑に押されている。
小大君は石清水八幡宮別当の娘、三条天皇が東宮の頃女蔵人として仕えていた左近で、三十六歌仙の一人。
【伝来】前田家
【寸法】本紙縦20.8 横10.9
【所蔵】前田育徳会