



黒楽 ノンカウ七種ノ内
付属物
内箱 桐 白木 同蓋裏書付 覚々斎宗左筆
外箱 桐 白木 書付 平瀬露香筆
伝来
大阪 千種屋平瀬露香―藤田伝三郎
所載
本朝陶器攷証 閑窓雑記 書画骨董掘出物語 藤田家道具帳 大正名器鑑
寸法
高さ:7.5~7.9cm 口径:12.3~12.5cm 高台径:5.4cm 同高さ:1.0cm 重さ:328g
所蔵者
大阪 藤田美術館
升と並んでノンコウ七種中でもことに有名な茶碗で、千鳥の原叟銘は、形が三角で光琳画の千鳥に似ているので付けられた。
軽妙な薄作で、口はやや抱え、素地は白土で土見である。漆黒の光沢うるわしいノンコウ釉がかかり、内外に幕釉が瀟洒に垂れている。正面に二か所特有の黄抜けがあって、千鳥に因む芦葉の景となっている。見込みはひろく、ノンコウの特色はここにもよく見られる。高台造りは升とよく似て、内ぐり鋭く、ノンコウ特有の冴えを見せている。高台内には楽印が片捺しにあって、印つきすこぶる見事であるが、ノンコウでも土見在印はことに貴ばれている。土見には水釉がうすくか 畳付は平らで、目が五つあるが、そこに黒釉の付いているのは、ノンコウの土見茶碗の特色である。口辺に鋏み痕がある。作行きの妙に釉の意匠が加わって、ノンコウの特色の発揮された作である。



