
一双入ノ内 前田家伝来
茶杓
虫喰はないが、節下に景色あって織部独特の手強い作である。
筒
遠州の見立てによって遠州自ら書き付けた。
「古田織部作と相見え候、一段おもしろく御座候」
付属物
添状 小堀遠州より前田利常あて
寸法
茶杓
長サ17.1cm
幅0.45―0.95cm
厚サ0.25cm
筒
長サ20.3cm
径2.4cm



添状 小堀遠州より前田利常あて
[消息の釈読]
猶々私事有馬より罷上、気分よく御座候処、此中又かぜをひき、咳気もいたし床にて候ゆへ書中不能子細候。尚近々可申上候。即不具謹言。
尊書拝見仕候。古田織部所より古肥前様へ進上申候茶杓之由にて候みせ被成候。うたがひも無御座織部作と拝見申候。殊一段見事に候。さびたる御茶杓にて候。古肥前様へ進上と申間、よく候はでは不叶御事候。
たとい何方に御座候ても、茶杓おもしろく相見え申候。織部茶杓之うちにもすぐれ申と存候。筒をいたし書付仕進上申候。此糸竹かけづりめ白く、ぬるき物にて候。其上かれ(枯れ)申たる竹無之候。此筒よく候と存候。不入御意候ば、かさねていたし御さし上可申候。随而すみ(墨)をくろく書申候間、大かたにていはげ申ましく候。
一咲々々。恐惶謹言
小堀遠江守 (花押)
二月二日
中納言様貴答



