御所丸 黒刷毛 銘 緋袴 ひばかま

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鶴田 純久の章 お話

付属物 箱 黒塗 金粉字形 書付
伝来 加州亀田是庵―藤田家
所載 藤田家道具帳 大正名器鑑
寸法
高さ:6.0~7.4cm 口径:10.1~13.4cm 高台径6.0~6.5cm 同高さ0.7cm 重さ340g
所蔵者 大阪藤田美術館

 これも御所丸黒刷毛の茶碗の中の逸品で、夕陽とともに双璧ということになりましょう。夕陽がどちらかといえばやわらかな、まるっこい姿だったのにくらべますと、こちらはわりに手強い作になっています。特に八角形にかっきりと截られた高台や、山道状の箆目が縦横に走る高台脇のあたりは、なかなか豪快なもので、これが高麗産とは思えぬくらいです。
 図版で見てもわかるように、この茶碗の黒釉は、きわめて鮮烈です。夕陽の方は同じ黒でも、茶色の呈色がかなりきつかったですが、緋袴の黒は紫がかった、たとえていえば鴉の濡れ羽色なのです。それが白釉との対比をよけいきわだたせて、この茶碗の豪快さにつながっているともいえましょう。白地に描かれた鳴子のような図文など、黒織部にも出てきそうな思いがします。この茶碗は見込みがまた傑作で、黒刷毛をぶつけたのだろう、荒い刷毛目と飛沫があざやかに印されて、波瀾万丈の奇観が現出しています。

緋袴 ひばかま

御所丸黒刷毛茶碗。
黒釉は紫がかった黒で、白釉との対比をI層際だたせている。
特に八角形に切られた高台や、山道状の箆目が縦横に走る高台脇のあたりはすこぶる豪快です。
白地に描かれた鳴手のような図文や、黒刷毛をぶっつけだような見込の景色など、すぐれた見所でしょう。
どちらかといえば、柔らかな「夕陽」とともに、御所丸黒刷毛茶碗の双璧です。
茶碗の腰周りの赤みを賞美して命銘。
《付属物》箱-黒塗、金粉字形《伝来》塩屋藤兵衛-亀田是庵-藤田家
《寸法》高さ6.0~7.4口径10.1~13.4 高台径6.0~6.5 同高さ0.7 重さ340
《所蔵》藤田美術館

緋袴 ひばかま

緋袴 ひばかま
緋袴 ひばかま

名物。朝鮮茶碗、御所丸、黒刷毛目茶碗。
茶碗の腰廻りが赤味を帯びていますので、御所の語の縁を連想しての銘だといいます。
京都の塩山藤兵衛所持、のち亀田是庵を経て、藤田家に人りました。
現在は藤田美術館蔵。
(『大正名器鑑』)

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