黒筒茶碗 銘杵ヲレ

黒筒茶碗 銘杵ヲレ
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鶴田 純久の章 お話
黒筒茶碗 銘杵ヲレ 011

高さ9.8cm 口径8.1cm 高台径5.6cm
 管見の長次郎焼筒茶碗のなかでは、もっとも優れたものと思われます。内箱蓋裏には「杵ヲレ(花押)」と例によって宗旦独得の味わい深い書付がしたためられ、外箱には嘩啄斎が「長次郎焼 宗旦箱書付杵ヲレ 左(花押)」と書き付けています。古い時代の伝来は詳らかではありませんが、京都の矢倉家に蔵されていたものです。
 高台やロ造りなど、その作振りは「面影」と似通い、ことに高台と口造りの抱え込みの手ぐせは近いです。口部は薄く、胴の二方上下に締りをつけ、高台はやや低く大振りで片薄状に削り出され、畳付は平たく、高台内の削り込みは浅く兜巾はありません。また高台際から腰にかけては平たく、内側に一段凸帯をめぐらせ、見込は深く、茶溜りも大きく深いです。畳付には目跡が三つ残っています。

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