砧青磁鳳凰耳花入。重文。砧青磁の最高峰とされるのがこの鳳凰耳であります。
砧形の本体の首に、王者の権威を象徴するがごとくに鳳凰耳が両側に張り出し、見事な均整を保っています。
また釉色もこの類はすばらしく、その名声を裏付けています。
日本では現在十数点が伝存しているようでありますが、そのほとんどは龍泉窯の作で、一、二点官窯の作も含まれています。
その中にあってこの「千声」と「万声」は双璧とされ、形容・釉色とも群を抜いています。
二点とも徳川将軍家に伝わり、東福門院大内にともない皇室に納められ、のち後西天皇が勅銘され、やがて「千声」は近衛家へ贈られました。
《寸法》高さ26.0 口径10.1 底径9.1《所蔵》陽明文庫