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鶴田 純久の章 お話
土面(縄文時代)
土面(縄文時代)

土製仮面ともいいます。
顔を表し、仮面に使用したとみられる縄文式時代の板状土製品。
中期に出現し後・晩期にわたっています。
中郡以東、特に東北地方に分布するが十数例しか見い出されていないようです。
仮面として実際にかぶれる大きさのものもありますが、小型で額に当てたとみられるものの方が多いようです。
目に穴をあけたものとあけないものの別があるようで、また左右両側に紐通しの貫孔をもつものともたぬものとがあります。
後者を積極的に仮面といいきることはできないようです。
ほかに耳・鼻などを別々につくった土製品もあります。
これは木か皮などでつくった仮面本体に取り付けて使用した部分品と考えられています。
仮面の歴史は旧石器時代にさかのぽり、呪術的に使用したものと、デスマスクとしてつくったものなどがあります。
縄文式時代の土面は前-Rみカカ者に属します。
世界の土俗例には、神憑りや呪術をてんかん業とする呪術師(シャーマン)が癩病の発作や精神錯乱症状に陥る事例が知られています。
これに関連して縄文式時代の土面に涙を流したもの、顔をゆがめ鼻を曲げたものがあるのを、顔面神経がけいれんを起こした瞬間をとらえたものだという解釈もあります。
(江坂輝弥「土製仮面」・甲野勇「先史時代の生活と芸術」『日本原始美術』二)

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