白磁の一種。
朝鮮の古墳より発掘されましたが、窯跡が不明ですので、中国からの伝来品であるだろうとする説が多いですが、中国から非常に大きな感化を受けた高麗に青磁だけがあって白磁の製造が全然なされなかったと断定するのは困難であります。
といっても中国の伝来品がその大部分を占めているでしょう。
中国製とすれば宋代以降のものであるが明代の作もあると考えられます。
北方では定窯その他、南方では建窯(明代)などが白高麗の原産地に擬定されます。
高麗白磁は技術上四種類に分けられます。
1)宋代の粉定窯に似た薄手の磁質で淡紅・牙白・白色などの釉調のもので、その画花・離花・繍花・印花の痕が極めて鮮かで、また箆目・櫛目などが鋭く現れています。
2)宋・明代の土定窯に類し、釉色は前者と同じでありますが、素地は吸水性の土質で粉定より重厚な感じがします。
2)明代の建窯白磁に似てわが国に以前からある白高麗手に属します。
牙色または白色の釉調で、素地は透明質であるがやや厚手でかつ暖かみがあります。
象牙または乳白ガラスを思わせ、すぐれた香炉・碗・仏像などの類があります。
4)唐代の越州窯・秘色窯および宋官窯・修内司窯などのもので、薄手の白磁上に青色の透明釉を掛けこれに力のある線刻などを加えています。
さらに旧李王家博物館の高麗白磁は二種に分かれ、一つは土質の素地で釉に青味がなく、北中国の酸化焼というものを思わせ、定窯産らしく不透明で潤いがあります。
もう一方は石質の素地で釉に青味があるようで、南中国の還元焼を思わせますが、もし酸化的に焼かれたものとすれば明代建窯白磁と考えられ、牙色で透明質のものであります。
わが国で白高麗を模造するには天草石の弱焼による。
また明治時代の砥部の淡黄磁は白高麗をねらったものであります。
(塩田力蔵)