井上世外 いのうえせがい

marusankakusikaku
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鶴田 純久の章 お話

本名馨。
明治の財政政治家・外交家。
世外はその号。
1835年(天保六)長門国(山口県)に生まれ、近代日本資本主義の育成に貢献し、また文化財の保全に努めました。
世外はまた1895年(明70治二八)の還暦の頃から東京でしばしば茶会を催し、晩年の1910年(同四三)に内田山邸の八窓庵が完成してからは、しきりにここで茶会を催しています。
また興津や鎌倉の別荘でも常に茶会を行なりましました。
その招きに応じて集まる同好の士をみますと、益田孝(鈍翁)・加藤正義・原富太郎(三渓)・三井八郎右衛門・三井高保・三井八郎次郎・朝吹英二(柴庵)・近藤廉平・根津嘉一郎(青山)・安田善次郎・石黒忠悳・高橋是清・大倉喜八郎・高橋義雄(篇庵)・山本条太郎・馬越恭平など財界の巨頭を中心とする顔ぶれであります。
そして世外が老体のため高橋帯庵と益田鈍翁がしばしば代点を託されました。
世外は美術品への嗜好が強くまた鑑賞眼にも富んでいたらしく、徽宗皇帝筆の桃鳩図一周文筆山水図一雪舟筆爆布図一十一面観音幅・孔雀明幅王などの国宝級のものをはじめ、古筆物・古画・仏画・彫刻・陶磁器など天下の奇什珍品を蒐集しました。
茶道具としては、松島真壺・道仁作田口釜などのほか、古川家から利休以来世の名物とされている長次郎作雁取茶碗などを入手したことなどが有名。
(『近代数奇者太平記』)

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