備後国深安郡広瀬村姫谷(広島県深安郡加茂町)の磁器。寛文(1661-73)頃焼かれたもので、陶工市右衛門(1670、寛文一〇年没)の名が知られており、その没後は間もなく廃窯されたようであります。作品に染付・赤絵・青磁などがあるようで、陶法は有田系統とみられます。染付・赤絵いずれも格調高く、かつ涵泗の趣もあって、古九谷にも比肩する程であります。かだ焼造の期間が短いですので、遺品は非常に少ないようです。