Frit フリット ふりっと

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鶴田 純久の章 お話

白玉ともいいます。
鉛白玉・無鉛白玉などがあるようで、それぞれ成分中に鉛を含むフリットと含まないフリットを指します。
フリットまたは全部を均一に混合したものを、一度ガラス状に熔解したあと急冷して小塊状または小片状にした人工的ガラス質窯業原料で、主として釉薬に用いられます。
その目的とするところは、釉薬組成に必要な化学成分のうち水に溶け易いアルカリ分・碩酸分などを、他の成分すなわちアルカリ土類・アルミナ・珪酸などの適量を加えてガラス化することにより、水に難溶性として使い易くすることにありますが、低温度で熔けにくい成分を釉薬組成中に導入し易くする効果もあります。
古来白玉と呼ばれた頃は媒熔剤(フラックス フリットとして釉薬中に少量添加されるか、軟火釉の主体として低温焼成用に利用され、その種類もわずかでありましたが、近年は千二百度以下で釉焼を行う陶磁器工業製品では作業の簡便・品質の安定などの利点からフリットを主体とした釉薬の利用が盛んとなり、市販されるその種類も目的に応じ極めて多いようです。
基本的な使用方法は目的に合ったフリッ卜に粘土または糊剤を添加する形式が最も単純な形でありますが、これに長石・珪石を加えた形式、さらに石灰・亜鉛華などを添加する用い方もあるようで、いずれも水を加え細磨した泥漿(スリップ)として素地に施されます。
ここに述べた陶磁器用フリットのほかに、七宝用フリット・磁耶用フリッ卜などがそれぞれの目的に適するようにつくられています。
フリット磁器 ふりっとじき一六世紀末にイタリアのフローレンスで創製されたものです。
乳白色の半透明な美麗な磁器でありますが、製造上種々の困難がともなうのでほとんど廃絶しています。
素地はブリット60パーセント、石灰石20パーセント、粘土20パーセントから成り、S.K4a’-’6aで磁器化させ、弱火性釉を掛けてs.K2a’^laで釉焼します。
(『窯業辞典』)

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