骨董家のいう唐津名物の一つであります。
寛永(1624-44)年間に至って製造されたものです。
陶質は堅く青黒を帯びた釉色で、高台の土質を現すものと現さないものとがあります。
高台の内に皺紋があるものをよしとします。
その形は多く正円でないようです。
掘出と名付けた理由は、火加減の度が過ぎたり、ゆがんだり、あるいは欠損したものを工人が不用として土中に埋めたものを、後世になって掘り出してこれを賞したことによりますが、初めから埋めない全備のものをもこの器と同種なものはみな掘出と名付けるようになりました。
(『工芸志料』)