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鶴田 純久の章 お話
正木 まさき
正木 まさき

中興名物。破風窯茶入、正木手本歌。
正木の蔓は冬に紅葉しますが、この茶入の片身替わりが、正木の葉の霜に飽きて黄葉・紅葉に変わろうとする時の景色に似ているので正木と名付けられました。
引歌は『古今集』の「み山にはあられふるらし外山なる正木のかづら色づきにけり」、また『新古今集』の「神無月時雨ふるらしさほ山の正木のかづら色まさり行く」。
甑が低く、肩は怒らずやや下膨れで、肩以下は極めて凡手に類します。
胴体は全面に琥輸目が巡り、黒飴釉の中に幅広く破風特有の黄釉のなだれがあります。
裾以下は赤味を帯びた土をみせています。
糸切はやや荒いです。
伝来は次の通り。
小堀遠州、土屋相模守、細川越中守、島原藩主松平主殿頭、東京根津嘉一郎家。
現在は根津美術館所蔵。
(『名物記』『古今名物類聚』『大正名器鑑』)

まさき 正木

瀬戸破風窯茶入、正木手本歌。
中興名物。
この茶入の片身替りに黄変している景色を見立てて、『古今集』の「み山には霰ふるらしと山なる正木のかづら色づきにけり」、または『新古今集』の「神無月時雨ふるらし佐保山の正木のかづら色まさりゆく」などの歌意により小堀遠州が命銘しました。
遠州所持ののち、土屋相模守政直・細川越中守を経て、元文年間(1736~141)島原藩主松平主殿頭が所持し代々伝わりましたが、大正七年に五万三千九百円で根津青山に納まりました。
姿は甑が低い撫肩で、やや下臓で、土も柔らかく焼き上がっています。
胴全体に轆轤目がまわり、黒飴釉の中に幅広く破風特色の黄釉なだれがあります。
裾以下は赤みを帯びた土をみせ、底近としきくに横長にほつれがあります。
口縁より肩にかけて竪樋が一本あり、糸切は荒めです。
破風窯の中でも特に釉色変化がすぐれて美しく、形もやや手がさ大きく、重量感も好ましいです。
なお「大正木」と称する茶入は同種で、この茶人とは姉妹品です。
『古今名物類聚』 『名物記』などに記載。
【付属物】 蓋三 仕覆―二、牡丹唐花金襴・紺地雲紋緞子(図版右より) 仕覆箱杉白木、書付小堀遠州筆 挽家―鉄刀木、蓋面取額彫緑青入、書付同筆 内箱 桐白木、書付同筆添状小堀遠州より松平主殿頭あて
【伝来】 小堀遠州土屋相模守政直細川越中守 松平主殿頭―根津青山メガヤサン
【寸法】 高さ:8.0 口径:3.7 胴径:6.1 底径:36 重さ:130
【所蔵】根津美術館

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