呂宋・流宋 ルソン

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鶴田 純久の章 お話
呂宋・流宋 ルソン
呂宋・流宋 ルソン

室町時代以来フィリピンのルソン島から渡ってきたと伝えられる葉茶壺の類をいいます。
しかしルソン島の産とするのは誤りで、ルソン通いの貿易船で運ばれてきたものとみるべきであるでしょう。
これらの茶壺には真壺・清香・蓮花王などの類があるようで、いずれも粘りのあるこまかい土で胎を薄くつくり、黄・褐・黒褐色の渋い色の釉を掛けています。
産地は福建・広東・中国南部かの雑器窯らしく、それが直接、あるいはルソン島に一度輸出され、さらに日本へ二次的に輸入されたものと考えられます。
葉茶を貯え、その茶壺を飾ることが習いだった中世の茶道では、今では考えられない程茶壺の位置は高く、貴重な舶来品の中にそれを求めたのであるだろうが、ようやく佗び茶に傾きかけた当時にあっては、きらびやかな青磁などよりも地味な色のルソン壺の方がより好まれたに違いないようです。
清香というのは肩に清香という酒名の印が押してあるところから出た名で、元来は酒壺であったことが知られます。
蓮花王も同じ類であるでしょう。

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