もと透徹の宝石を指して数色あるようで、そめ後もっぱら青色のもののみをいいますが、ガラス質のものをも呼びます。
おそらく『漢書』の西域伝に流離とあるのを初見とするべきであるでしょう。
その後の諸書は多くその質は脆く螢徹、また彩色あるものがあるといいます。
また昔人の多くは破璃と琉璃とを別物とするようでもあるようで、同一物を指すようでもありますが、同物であるか異物であるかの確証はないようです。
わが国で平安時代にいう琉璃とは青色ガラス質のものを呼ばれているようですが、また『源氏物語』には白琉璃のことがみえます。
昔中国の宮殿および親王邸所用の琉璃の瓦というものは、扁青石を薬料として焼成したものであるといい、扁青石は侶(アルミニウム)と鏑(ナトリウム)との珪酸化合物で、破璃光があるようで、かすかに透明で、装飾品および青色顔料として陶器釉薬中で有用のものであるといいます。
(『一切経音義』『本草綱目』『南州異物志』『夷門広暁』『稗史類篇』『玉考』『倭訓栞』)