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鶴田 純久の章 お話

陶磁器の表面上に着画する操作をいい、これには二種あります。
すなわち釉の表面に着画するものと、その下部に施すもので、前者を上絵付、後者を下絵付といい、いずれも次の操作の一種または数種以上を、同時あるいは数度に行なって目的を達するものであります。
その操作は大別して次の数種となります。
すなわち書き絵といって単に毛筆で絵付されるものと、銅版絵付・石版絵付・写真転写≒コム版絵付・吹掛絵付並びに振掛絵付などがあります。
毛筆で絵付をするにもまたその方法が数種あり、最も普通に行われるものは、いわゆる顔料の細粉を水に混ぜた泥漿を、毛筆に含ませ陶磁器の表面に着画するものであります。
しかし釉下着画すなわち下絵付の場合には、素地に吸水性があるため、単に顔料細粉を水に混ぜたものを使用しますと、急に吸水して運筆が自在にいかなくなるので迅速に運筆する必要があり、また顔料の種類によっては、釉の熔融する際顔料の一部分が流出して筆跡が判然としないことがあります。
これらの悩みを除くために、素地面に薄く磐土質に富む原料の白絵土を塗布します。
これは素地の吸水を緩やかにし運筆を便宜にするだけでなく、焼成申に顔料が流出することを防ぎます。
このほか顔料に油類または膠質を混ぜて毛筆で絵付すれば、また運筆を自在にすることができます。
また釉上着画すなわち上絵付の場合、上絵顔料に単に水を混ぜるだけで使用しますと、釉面が滑沢であるため顔料が一様に散布しないだけでなく、顔料中に含まれる水分が運筆の際に毛筆の運ばれない部分へ流出することがあり、これを防ぐには、上絵顔料の細粉中に少量の膠と水とを混ぜた泥漿を使用するか、または釉面全部に薄い膠水を塗布し、乾燥後前記の顔料泥漿を使用して運筆すればよいです。
また下絵付の場合のように、上絵顔料の細粉・に諸種の油類を混ぜて使用することがあり、あるいは一度釉上着画のうえ焼成し、さらに金または銀色などを現すために毛筆で着画することもあります。
銅版絵付・石版絵付・吹掛絵付・振掛絵付などについては各項目参照。
なお絵付の語は主に上絵付を指し、また焼付ともいい下絵付の染め付けに相対します。

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