Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話

付属物 箱 書付小堀権十郎筆
寸法
高さ:6.8~7.3cm 口径:14.6~14.8cm 高台径:5.1cm 同高さ:1.3cm 重さ:332g

 端反り椀なりの、堅手本来の姿ですが、高台がいくぶん小さいように感じます。実はたいして小さいわけではないのですが、背が高いためにそう見えるのです。
 釉調はもともと淡い枇杷色のところと、蒼みの強い灰色のどころとあり、それが肩裾や片身替りのように入りまじって、甚だ変化に富んだ景色を見せてぐれるのです。
 堅手の茶碗では、釉が高台まで及ばないのがふつうですが、この茶碗は別で畳付から高台内まで、殆ど全面に釉をかぶっています。高台は約束どおり竹の節で力強く、高台内のさらえで兜巾からちりめん皺が放射し、そこに釉がちぢれ寄って、いわゆる椎茸高台の状をなしています。高台脇から腰へかけての削りも荒く、土がちぢれたために釉にもそれが及び一種かいらぎ状の変化を見せて、この茶碗の興趣を一層ひきたてています。

朝鮮茶碗の一種。李朝前期に作られたもの。土・釉ともに堅い感じがするため、堅手と呼んだものらしいです。多くの窯で作られたらしく、形は井戸風の開きかげんの茶碗。普通は総釉ですが、代表的な長崎堅手では釉が裾で切れていたりすることがあります。
今でこそ陶器・磁器と区別していますが、作り方は同じでも本来は窯の近くの土を使い焼成するため、区別しにくいというのが本当でしょう。結果的に焼きあがったものが磁器質のものか陶器質かを区別し、判断しにくいのをこのような読み方にしたのだろうと思います。

堅手 かたで

朝鮮系の茶碗の焼き締まったもので、その土・釉などが堅そうにみえるもの。堅手の本手・白手・砂堅手・遠州堅手・御本堅手・長崎堅手・大阪堅手・御蔵堅手・絵堅手・半使堅手・雨漏堅手・金海堅手・堅手三島などの種類がある。堅手の本手または単に堅手と呼ばれるものは、紫土に艶の潤った釉があり、釉色は淡浅葱色に少し鼠がかり、しかも白味がある。釉には小ひびがあり高台は土をみせない。堅手の上品は往々にして井戸の手に入る。また下品になる程白味を増し小ひびは少なくなる。(『高麗茶碗と瀬戸の茶入』)

前に戻る
Facebook
Twitter
Email