美濃国土岐郡下石村(岐阜県土岐市下石町)の陶窯。
元和年間(1615-24)同郡定林寺(同市泉町定林寺)の加藤庄三郎氏家という者が、窯株六基を分け持って来て同村字清水・桜ヶ根の四方の谷間に窯を築き初めてこの業を営んだのが、この地の近世陶業のはじめといわれています。
文化・文政(1804-30)の頃太白焼を出しましたが、磁器を始めたのは天保年間(1830-44)で、庄三郎から三代目加藤佐平治へ入り婿した利兵衛であるとされます。
製品の種類は香炉・味噌壺・米鉢・仏器・小茶碗・花生・蘭鉢・二合肩張徳利・三合トビロ徳利・切立菊などでありますが、1894年(明治二七)からは電気用の碍子をつくり、翌年からは碍管・電燈用取付器をもつくり、また外国向け白磁をも製するようになったといわれます。
(『岐阜県産業史』)