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鶴田 純久の章 お話

高さ7.9cm 口径16.3cm 高台径7.0cm
 この茶碗も瀬戸黒と呼ばれるべきものではなく、いわゆる織部黒の典型作であります。沓形の茶碗で、口はやや分厚く外に開き、口まわりをいちだん強く引き締めています。この種の茶碗がいつ頃から作られ出したのかははっきりとしないが、慶長四年に織部が自分の茶会に使った茶碗について。その茶会に招かれた神谷宗湛が、「茶碗ハ瀬戸焼、ヒツミ候也。ヘウケモノ也」といっている言葉から、沓型は慶長前期にすでに行なわれていたと推測されています。しかしそこで用いられた茶碗が志野の茶碗であったか織部黒であったかは、判然としていません。だが、瀬戸黒から織部黒、黒織部へと変化していく作風の展開を考えてみると。この手の茶碗がおそらく慶長年間前半に焼かれていたことは確かでしょう。

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