楽家十一代。
実は丹波国南桑田郡国分庄（京都府亀岡市千歳町国分）の小川直八の三男で、幼時より楽家十代旦人に養われていました。
1817年（文化一四）生まれ。
幼名惣吉、のち吉左衛門、譚は喜貫、剃髪して慶入と号しました。
三十八歳の時養父旦入が死んだので家を継いです。
作風はノンコウを慕ったようであるようで、技巧にすぐれ表釉にも種々の工夫があります。
嘉永年間（1848-54）有栖川宮家に茶器を献上し、1865年（慶応元）には孝明天皇の御用１で雲鶴の火鉢数個を納め、翌年には御茶碗の御用命を拝しました。
また西本願寺の御庭焼もなし、西本願寺光尊上人から「雲亭」の印を受けた。
1902年（明治三五）1月3日没、八十六歳。
なおその使用印は三期に類別されます。
第一期とされるのは旦入の在世中すなわち相続以前の期間で、紫野の黄梅院大綱和尚の筆になるいわゆる蜘蛛の巣印というものです。
第二期は董其昌の法帖から選出したもので、1851年（嘉永四）から1870年（明治三）までのものです。
第三期は1871年6月の剃髪以後で、白楽印と呼ばれるものです。
（『楽陶工伝』）
