Bowl with handle across mouth with flower-and-bird design, enamelled
ware
Mouth diameter 22.8cm
高さ9.2cm 口径21.3~22.8cm 底径16.2~16.6cm
鐔縁にしたやや深い中鉢に弓形の手をつけています。古九谷様式の手鉢はそれほど数の多いものではありませんが、それぞれ作風の異なりますものを五、六点見ています。図29の銚子と同じく把手にのみ染付で七宝文をあらわしていますが、おそらく見込に描かれる色絵の文様との調和を考える作為でしょう。たしかに把手が染付ですため、見込にあらわされた花鳥文はいちだんと目に映える。見込円窓内に太湖石を中心に菊をあらわし、岩の上に一羽の鶺鴒を宿らせて、その配色はまことに優美であります。縁には二方に窓を設け、内に松の図を描き、他は赤でくくった沙綾形文様を緑と紺青であらわしています。鐔状の縁は低く立ち上がり縁紅にしていますが、全体の作振りは祥瑞風であります。外側には槍梅の折枝文を四方に配し、花には赤、葉には緑をさしています。この種の染付併用の折枝文様は、古九谷様式の他の作品に見ますものと同様であります。平らな底には削跡が残り、砂の目跡が付着しています。見ますからに雅味深く、しかも艶やかな作振りのもので、完成期の古九谷様式色絵の醍醐味を味わわせてくれる。