名物。朝鮮茶碗、青井戸。旧名竹屋井戸。銘は『論語』子竽第九「子、九夷に居らんと欲す。或るひと曰く、晒しきことこれを如何せん。子曰く、君子とれに居らば、何の晒しきことかとれあらん」の故事に因む。また京都の道具商竹屋忠兵衛のもとにあったので竹屋井戸の銘がある。景色が多くの少ない絶品で、『茶会漫録』によれば、瀬尾・春日野と共に東京の青井戸の三名品と称されたという。竹屋代々の愛蔵であったのを、栄三忠兵衛の代に朱座尾本に譲り、同家で何陋と命名した。
のち大阪磯野家、戸田露吟を経て、一九〇四年(明治三七)東京の加藤家に移った。(『大正名器鑑』)