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鶴田 純久の章 お話
青海波 せいかいは
青海波 せいかいは

茶道具の一種。茶席で用いる蓋付きの貯水器。柄杓で釜へ水を差したり茶碗・茶筅をすすぐのに用いる。金属製・木製・陶磁器製がありガラス製もあるが、最も陶磁器が喜ばれる。古く東山時代以降の書院台子式の頃のそれはほとんど胡銅のものまたは南蛮銅と称する金属製であって、種類には懐桶・茶桶・半桶・エフゴ・返花・飯胴・甑・茶盆・擂盆などがあり、木製には釣瓶・手桶があった。やがて佗び茶の流行と共に土物としての信楽・備前が採用されたが、当初は緒に桶など民具の見立て使いが多く、利休の天正(1573~192)頃から瀬戸水指が盛行し、古田織部の時代になると瀬戸・美濃・伊賀・備前・唐津などへ強い·好みものが注文された。また以後諸国陶窯の興起と共に筑前・豊前・肥後・薩摩・御室焼などの水指が現われ、宗旦による楽焼の好みものも出た。
また渡来品としては青磁・南蛮島物・高麗・祥瑞・染付も加わり、京焼九谷など国内の色絵ものと共に多彩を極めることとなった。1816年(文化一三)の『茶道筌蹄』水指の部によれば、唐物としては抱桶・天竺・西瓜金・モウル金、青磁類としては雲鶴・砧・天竜寺・七官、南蛮ものとしては縄簾(ただし横簾・竪簾)・冬寒・切・南蛮芋頭・朝鮮芋頭・海老手・不識、染付としては古染付・虫喰手・祥瑞・呉須・菱馬、井戸としては擂盆、ほかに紅毛・宋胡録・絵高麗・安南の名を挙げ、また和物土物之部には十二の窯、楽焼之部には宗旦好みなど八種の形を記録している。ま松平不昧の蔵帳には、百両以上のものとして、縄簾・信楽三夕・備前一重口・切南蛮耳付・小スンコロク頭・南蛮椀形・古備前矢筈・信楽夕桜・同一重口・呉須菱馬・渋紙釉・伊部飯胴・空中芋頭・伊賀飯胴・藤四郎一重口・志野撫角・瀬戸受口などを記している。なお水指は茶法としての棚物扱いと不可分の関係にあり、いわゆる型物水指としては祥瑞蜜柑・染付芋頭・万暦桝・青磁太鼓胴・染付葡萄・呉須菱馬・青磁鉄鉢・染付桶側・呉須十二角・紅毛たばこ・染付竹の絵・染付桜川などがある。なお手水次を水差ということがあり、これは持手と注口を有し、大口・片口・茶罐などが略式の場合に限って水指を代用することがある。

茶道具の一つ。釜に補給するための水や、茶碗をすすぐための水を入れておくための蓋つきの器。

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