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鶴田 純久の章 お話
須恵器 台付長頸瓶
須恵器 台付長頸瓶

Sue ware: tooted tall-neck jar. Excavated from Kaniana Tumulus, Tōshi-machi, Toba-shi, Mie. 7th century. Height 55.0cm. Tokyo National Museum.
三重県鳥羽市答志町蟹穴古墳出土
7世紀
高さ55.0cm 口径24.2cm 胴径36.5cm 底径24.5cm
東京国立博物館
 台付長頸瓶として現在知られる最大のものであり、圧倒されるような重量感に溢れています。わずかに丸味を残した肩と胴の境に稜を描いて屈折する胴部、大きくラッパ状に開いた長大な口頸部、低いながら裾の外へ張った安定感に富んだ高台などの特徴からみて、この台付長頸瓶の製作年代を7世紀後半代に求めることができます。素地は鉄分の多い土で、粘土紐巻き上げ叩き締め成形後、叩目を消しており、胴上縁に斜行櫛歯文を施しています。焼成はやや酸化気味で、口頭の一部から肩の全面に褐緑色の自然釉がたっぷりとかかっており、器物の大きさと相まって力感に溢れています。いうまでもなく、この台付長頸瓶は大きさからみて実用品ではなく、古墳への副葬用につくられたものでしょう。古墳時代の須恵器は6世紀の第二四半期と7世紀の第三四半期の二時期に最大規模の器物をつくっていますが それは神への祭祀が強調された時期の産物であることを示しているのです。

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