Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話
須恵器 双耳瓶
須恵器 双耳瓶

Sue ware: vase with two handles.Excavated at Kosohara, Miyazaki-mura, Fukui. 11th century. Height 27.8cm.
福井県丹生郡越前町小曾原出土
11世紀
高さ27.8cm 口径13.3cm 胴径18.0cm 底径9.8cm
 肩に二個の耳をつけた、通常双耳瓶と呼んでいる形態の瓶は全国各地の須恵器や灰釉陶器として焼かれています。しかし形は同一ではなく、耳もまたそれぞれ地方色に富んでいます。8世紀後半に始まる初期の双耳瓶はいずれも環状耳で、胴下半にも一個の環をつけるのを通例としますが、9世紀以降扁平な耳となり、地方色が現われます。
 北陸地方の双耳瓶は長頸瓶を基本としていますが、耳にきわめて特色があり、上下を覚で削ったえぐり耳をしています。10世紀以降ではこの耳がしだいに長くなり、さまざまのえぐりを設けて装飾的効果のつよいものにしています。本器は数少ない越前双耳瓶の完器であり、緻密な土を用い非常によく焼き締まっていて、肩から胴下半の一部にかけて黄褐色の自然釉がかかっています。

前に戻る
Facebook
Twitter
Email