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鶴田 純久の章 お話

京都の雅陶。指頭の捏造になる火度の低い一種の陶器。安土・桃山時代に帰化人阿米夜(飴也・屋)が創始したと伝えられます。楽焼という名称は、初代長次郎が豊臣秀吉の聚楽第内で製陶し、初め聚楽焼と呼ばれ、二代常慶が楽字の印款を賜わりこれを使用するに及んで順次楽焼の名で呼ばれたらしいです。製品は茶碗を主とし、他に茶入・香炉・水指・香合などがあります。茶碗には赤楽・黒楽があり、初期の赤楽は胎土聚楽土による発色で、十代旦入十四樂三枝喜树与次、吉左衛門、呼び名は宗慶のち常慶。長次郎の子、弟との説もある(「楽家宗入文書」によれば田中宗慶の次男)。1635年(寛永一二)五月二十九日没、75歳。三代道入別号ノンコウ。初め吉兵衛、のち吉左衛門、剃髪して道入としました。1656年(明暦二)二月二十三日没、58歳。四代一入初め左兵衛、のち吉左衛門、剃髪して一人と号しました。1696年(元禄九)一月二十九日没、57歳。五代宗入幼名惣吉、のち吉左衛門、剃髪して宗入と号しました。1716年(享保元)九月三日没、53歳。六代左入初め惣吉、のち吉左衛門、剃髪して左入としました。1739年(元文四)九月二十五日没、55歳。七代長入はじめ惣吉、のち吉左衛門、剃髪して長入と号しました。1770年(明和七)九月五日没、57歳。八代得入初め惣吉のち佐兵衛。諱は喜制、諡号は得入。1774年(安永三)十一月十日没、30歳。九代了入初め惣次郎、のち吉左衛門。諱は喜全、号は了入・土軒。1834年(天保五)九月十七日没、79歳。十代旦入初め惣治郎、のち吉左衛門。諱は喜愷、剃髪して旦入と号しました。1854年(安政元)十一月二十四日没、60歳。十一代慶入初め惣吉、のち吉左衛門。諱は喜貫、慶人と号しました。1902年(明治三五)一月三日没、86歳。十二代弘入初め小三郎、のち惣治郎・吉左衛門。諱は喜長、弘入と号しました。1932年(昭和七)九月二十四日没、76歳。十三代惺入初め惣吉、のち吉左衛門。諱は喜英、惺入と号しました。1944年(同一九)三月八日十一代慶入十三代入心커여5【楽家】楽焼は京都の楽家が代々その本流を伝えるものであり、『楽焼家元』によってその代々を記しますと、元祖阿米夜号宗慶(近年の資料によれば、宗慶は別人で田中姓)、永正年間(1504~21)にわが国に帰化しました。行年不詳、諸書に1574年(天正二)没、82歳とあります。尼焼阿米夜の妻、佐々木家の娘。没年および行年は不詳。初代長次郎号長祐、初め佐々木姓、のち田中姓(資料によれば長次郎の妻の実家が田中姓)。1592年(文禄元)九月七日没(「楽家宗入文書」によれば一五八九、天正一七年没)、行年不詳、諸書に77歳とあります。二代常慶幼名十二代弘入樂八代得入十晶片七代入黒楽は加茂川上流の真黒石という釉料による発色です。また香炉釉という白釉などもあるが用例は少ないです。そもそも楽焼はわが国で茶道が盛行するようになり、これに要求されて出現した独自の産物であるために、その特徴はすべて抹茶道の精神に合致します。茶の温味を保つのに適した器質、形態の安定感と不規則自在な成形、しかもその中に五岳などと称する口造りの巧みさ、色相の沈着など手捏ねのみがもつ温雅静寂の趣をもっています。
たぶん長次郎は千利休の指導によってこのわが国独自の茶碗を創製したのであろうといわれます。
樂六代左入三代道入味樂九代了入樂没、58歳。十四代吉左衛門(当代)1918年(大正七)十月三十一日生まれ。
【脇窯】楽家代々の作を楽焼の本窯といい、これに対し一族ないし弟子の作を脇窯といいます。和泉国堺(大阪府堺市)に移って開窯した常慶の兄庄左衛門宗味、左文字の楽印を用いた三代道人の弟道楽、四代一人の弟一元の開創になる玉水楽などは楽家直接の脇窯であって、加賀金沢の大樋焼は地方的脇窯です。また本窯・脇窯以外の楽焼風の作で数寄者の手になるものでは、光悦・空中・宗全らが有名です。その他に楽焼風のやきものとして今泉雄作は著書『日本陶瓷史』において、破笠焼・乾也焼・吉向焼・豊楽焼・久楽焼・金華山焼山焼・与三兵衛焼・紫野焼・常楽焼・太郎助楽焼・三国焼・篠島焼・萩山焼・不二見焼・古戦場焼・夜寒焼・半七楽焼・玉川焼・隅田川焼・飯野焼・難波焼・湊焼・小松焼・友月焼・呉山焼などを列挙しています。なお楽焼はその製法が比較的簡単であるため各地の窯場または好事的人士によって製作され、枚挙にいとまがありません。『楽焼秘囊』などのような簡易な土楽調合書も大いに行なわれました。楽代々その他については各項参照。

手捏ねで成形し、800から1000度の低火度の焼成で胎から発色する赤楽と、高火度で焼成し、途中で引き出す黒楽があります。
または、初代長次郎に始まる京都の樂家代々の作(本窯)と、その系譜を引く一族や弟子の作(脇窯)の総称。

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