大名物。朝鮮茶碗、古高麗、割高台。もと豊臣秀吉所持、近江水口城主長東大蔵大輔正家がこれを拝領し、次いで関が原の役に正家を攻略した池田備中守長吉が家康から改めてこれを拝領し代々相伝、のち幕府に献上。酒井雅楽頭がこれを拝領し、文化(1804~18)の頃松平不昧がこれを購求し同家に相伝した。内外青白釉中にところどころ共釉なだれがあり、高台は十文字に割れて釉が掛かり、四本ともに足底が磨ってあり、内部見込に円状の轆轤目があり、高台は頑丈な作行でその形よりいえば当初は筆洗として用いられたものであろう。天下割高台七つのうちの一つである。(『玩貨名物記』『古今名物類聚』『大正名器鑑』)