中国唐の滅亡の頃から内蒙古地方に勢威をふるっ契丹族遼の領下で焼かれた三彩である。遼の官窯である上京の林東窯や、赤峰の乾瓦窯がその産地であるが、それらが唐三彩の系譜を引くものであることはいうまでもない。ただし豪華絢爛たる唐三彩とは違って、朔北の草原に生まれたこの三彩はある程度の粗放さに裏打ちされた力強い野性味に満ちているといえよう。赤い素地に白化粧をして三彩釉を施すことに変わりはないが、地肌に付けられる刻花文や印花文が唐三彩のそれのように整然としておらず、その上の三彩釉も規矩にこだわらず自由奔放に掛けられるので、かなり印象は違ったものになる。つくられた器形は壺・長頸壺・碗・皿・礫・八稜長方盤などで、特に変わったものとしては現在西ベルリンの東方博物館の有に帰した円硯がある。
中国、遼代につくられた三彩陶器。唐三彩の流れを汲み、素地に白化粧をして三彩釉を施しますが、唐代にある整然とした文様はなく線彫や型押も素朴な感じとなり、釉掛けも自由奔放であります。
器形は碗・皿・壺・瓶・硯などがあり、長頸壺、鶏冠壺、稜花長盤に特色があります。