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鶴田 純久の章 お話
色絵月梅図茶壺
色絵月梅図茶壺

Ninsei: tea jar with moon and plum tree design, enamelled wareHeight 30.0cm Tokyo National MuseumRegistered as Important Cultural Property
高さ30.0cm 口径10.6cm 胴径27.1cm 底径11.4cm
重要文化財
東京国立博物館
 仁清の色絵茶壺は、いま知られているかぎりでは十二口現存していますが、なかでは 「色絵藤花図茶壺」 とこの茶壺がもっとも技術的完成度の高いものとして声価が高いです。
 均斉のとれたまるみ豊かな姿もほぼ同様であり、口部から胴裾にかけられた白濁色の釉は前面滑らかに溶けて細かい貫入を呈発し、釉膚の滋潤なことでも仁清茶壺中両器がもっとも優れ、仁清独特のこの釉薬が理想的に焼き上がった状態のものといえるのではないでしょうか。
 胴には、主題の紅梅の老樹を、幹を中央に枝を左右に伸ばしてあらわし、右に伸びた枝先の上、肩のあたりに満月を配し、さらに正面の肩と胴の中央から裾にかけて源氏雲をたなびかせています。幹や枝は黒骨猫の上に紫と緑で上絵付して老樹の趣をあらわし、花は赤と銀、赤い花は金で蕊を描き、銀の花は赤で輪郭を線描しています。
 中天に浮かぶ満月も銀で賦彩していますが、いま見る銀色は黒くさび、金の源氏雲は、あたかも金箔を置いたかのように金泥盛上げで細かく描いています。これらの上絵付法はやはり仁清独特のもので、あたかも蒔絵師の仕事のような趣があります。
 さらに注目すべきは、この「色絵月梅図茶壺」 が狩野派の画風を示していることで、貞享元年(1684) に著された山城国の地誌 『雍州府誌』 に 狩野探幽や永真に下絵を描かせたと記されていることから推測して、絵画的な意匠の仁清陶には、注文に応じて宗達派や狩野派の画家が絵付あるいは下絵を提供したものがあると考えられています。平らな底の左側中央に「仁清」の大印が捺されています。
 明治十一年以来東京国立博物館に蔵されていますが、それ以前の伝来は詳らかでありません。

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