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鶴田 純久の章 お話
色絵龍図茶壺
色絵龍図茶壺

Ninsei: tea jar with dragon design, enamelled wareHeight 26.5cm
高さ26.5cm 口径9.8cm 胴径23.8cm 底径10.3cm
 色絵月梅図茶壺の茶壺と似た器形ですが、一まわり小振りに作られています。しかし口部から胴裾にかけてかかった白い地釉の釉膚は、「色絵月梅図茶壺」 と同じく滑らかに溶けています。
 胴には、龍が赤、緑、黄、紫、金、銀彩で鮮やかにあらわされ、その龍の表現も狩野派の筆行きです。胴裾にあらわれた素地膚は赤く焦げて、白い釉膚と鮮やかな対照を見せ、また裾まわりには細かく箟削りの跡があらわれ、底にも轆轤目が細かくめぐり、平らな底の左側中央に 「仁清」 大印が捺されています。
 この茶壺も 「色絵藤花図茶壺」 や 「色絵吉野山図茶壺」 とともに丸亀藩主京極家に伝来したもので、収まった箱の蓋表には、右肩に「七番」 と記し、中央に御家流の筆行きで 「京極形 (刑) 部少輔殿慰為御焼候 錦手茶壺二ツ之内」 と記されていますので、明らかに京極家からの注文によって焼造されたことがわかり、二口の内一つは、あるいは 「色絵藤花図茶壺」 であったかもしれません。仁清の茶壺の優作のいくつかが京極家に伝来したことは、御室焼仁清と京極家の関係がかなり深いものであったことを推察させます。

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