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鶴田 純久の章 お話
色絵山寺図茶壺
色絵山寺図茶壺

Ninsei: tea jar with design of temple buildings in mountains, enamelledwareHeight 22.3cm Nezu Art MuseumRegistered as Important Cultural Property
重要文化財
高さ22.3cm 口径9.4cm 胴径17.1cm 底径10.3cm
根津美術館
 現存している仁清の茶壺のなかではもっとも小振りのものです。
 色絵若松遠山図茶壺と同じく肩衝形ですが、その姿はいささか均斉を欠いています。
 口部から底近くまでかかった白濁色の地釉はやわらかく焼き上がり、胴の全面にわたって、夕陽に映えているかのような楼閣山水の春景色をあらわしていますが、俗に 「山寺図」 と呼ばれています。仁清の色絵茶壺のなかではもっとも絵画的な風韻に富む絵付で、その筆致はまさに狩野風、これこそ探幽の絵付であったかもしれません。正面には上下に黒で堂宇を達者な筆致で描き、背面は山と霞であっさりとまとめていますが、金泥と薄赤、青の使い方が効果的であり、充実した画面を構成しています。
 裾まわりの釉切れのところに指跡が五つ残り、底の素地膚は赤く焦げ、平らな底の左側中央に 「仁清」 の大印を捺しています。

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