Kōrin & Kenzan: squared dish with design of a poet viewing sea gulls,iron brown under glazeMouth diameter 22.2cm Tokyo National Museum
高さ2.9cm 口径22.2cm
東京国立博物館
乾山焼のなかでもっとも重要な作品として、兄光琳が絵筆を染めた兄弟合作の作品が伝存しています。それらの多くは近年の研究によって宝永六年(1709) から正徳年間(1711-16)にわたって製作されたものであったことが判然としてきましたが、この皿はそうした光琳、乾山合作の代表作の一つです。
型作りによる正方形の平皿で、白化粧がけ下地の上に銹絵具で絵付していますが、その発色はやや薄く褐色に近いです。土坡を斜めに薄く、左上に二羽の鷗を遊泳させ、右にそれを眺める高士をあらわした画題は、宋の黄山谷の観鷗図ではないかといわれています。左下に書された光琳の落款は 「寂明光琳画」 です。垂直に立ち上がった縁の内外は中央に窓をあけ、なかに花を唐草風に描き、余地には雲唐草をめぐらしています。
この皿の声価が高いのは、光琳の絵が優れていることはもちろんですが、裏面に書された乾山の銘文が堂々としていることにもよります。
文面は「大日本国陶者雍州乾山陶隠深省製于所屋 (居) 尚古(斎)」で、雍州の乾山陶隠という表現に、若い時から隠逸の生活を好んだ彼の思想が反映していますし、「大日本国陶者」には乾山の誇らかな気持が躍如としています。