Kenzan: covered bowl with miscanthus design, underglaze brown andblue, overglaze goldDiameter 27.6cm Suntory Museum of Art
高さ7.9cm 口径26.7×27.6cm サントリ-美術館
銹絵染付金銀彩松波文蓋物と同じ作調の蓋物ですが、ここには叢芒を縦横にあらわして秋の風情を大胆に意匠化しています。信楽土風の胎土をざんぐりと成形して、あたかも籠製の蓋物のような趣に作っているところに創意があり、そこに白泥と呉須と鉄絵具で芒を奔放に描いて透明性の釉をかけ、さらにやや濃く焼き上がった銹絵の上に金彩を施して装飾的効果を一段と高めています。曲面に太く細く描かれた穂や葉のリズムはまことに闊達であり、観るものの興趣を大いに深めます。蓋と身の内面には白化粧地に呉須で文様を描いていますが、その描写はまことに稚拙で、表面の描写の美しさとあまりにも対照的です。山根有三氏は芒の筆者を光琳と推定していますが、無署名であるために判然としません。
このような作振りの蓋物は乾山焼の得意としたものなのか、蓋身ともに揃ったもの五点のほか、蓋が欠失して身を平鉢としているものを数点見ています。