Two-color glazed ware: cup. 8th century. Diameter 31.3cm.
8世紀
高さ5.6cm 口径31.3cm 底径26.3cm
正倉院
正倉院には本器を含めて同形の二彩盤が三点あります。これはかつて「磁皿甲」 に含められており、昭和三十七~九年の調査で 「大平鉢」と改められましたが、当代の陶器一般の名称からすれば杯の類に入るものです。裏面の墨書銘に 「供養盤」とあり、杯の大形のものを盤と呼んだのでしょう。
素地は灰黄白色を呈し、よく焼き締まっていて、外側面の釉裏に素焼きをした際の「火」 (下段部分写真) が明瞭に認められます。釉は緑釉と白釉を無造作に塗り混ぜて文様をなさないようにみえますが、内面のみは他の二彩大皿類のように円弧を二段に重ねる段ちがい連弧文を描こうとしたようにみえ、よく熔けて流下しているため一見無秩序にみえます。内底の縁辺部および外底中央に重ね焼きの際の目痕があります。なお、底裏に戒堂院聖僧供養盤 天平勝宝七歳七月十九日 東大寺の墨書銘があります。この日は聖武天皇御生母中宮御意会に当たっており、その法会に用いたものであることが知られます。