銹絵染付金彩絵替土器皿

銹絵染付金彩絵替土器皿
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話

Kenzan: set of dishes with different designs, underglaze brown andblue, overglaze goldMouth diameter 16.0~16.5cm Nezu Art Museum
口径16.0~16.5cm
根津美術館
 かわらけ高台のないあたかも土器のような形の皿で、俗に土器皿と呼ばれています。土器皿も乾山独特のものであり、四季さまざまの絵替わり文様の大小各種を作っています。また素地も鉄分の多い土を用いたものと白いものとがあります。
 この五枚一組の土器皿は、あらゆる機会に紹介され広く知られているものですが、やはりこれをおいて語ることのできない、土器皿の白眉といえる優作です。乾山焼の楽しさは、洗練された装飾的な表現がざんぐりとした形のなかにいかにも雅趣豊かに示されているところにあり、同じ京焼でも仁清とはまったく違った詩情がうかがわれます。
 鉄分の多い素地に、それぞれの文様に応じて見込みから裏面一部にかけて白化粧下地を施し、鉄絵具と呉須で絵付をして透明釉をかけ、その上に金箔を置いていますが、文様は間取りが巧みで、しかも円形の皿によく収まっています。裏面の口辺にそれぞれ白化粧下地の上に「乾山」 の文字を方形の枠取りをして書し、底はまるく露胎にして鉄褐色の素地膚を見せています。まさに琳派意匠というにふさわしい作振りです。

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