Ash glaze pottery: jar with four legs. 10th century. Height 16.2cm.
10世紀
高さ16.2cm 口径11.0cm 胴径22.6cm 底径15.7cm 脚高2.0cm
重要文化財
慈照院
伝世短頸壺の胴に三本の突帯がめぐり、肩からしだいに太くなる四本の脚をその上から貼りつけたこの形態の壺を四足壺と呼んでいますが、その用途は必ずしもあきらかではありません。京都清水寺裏山や比叡山横川出土品のように、蔵骨壺として使用された例が若干知られています。
本器は京都相国寺の塔頭、慈照院に伝わったもので、箱書に 「高麗ほかい御水指」 とあり、織田有楽から同寺に贈られた茶道具とされていますが、いうまでもなく本来の用途ではありません。口縁部に若干の補修があるほか、きわめて保存がよく、完好な姿を保っています。全面にたっぷりと厚くかけられた灰釉は伝世の手なれを加えて黄褐色の光沢を有し、鉛釉ではないかと思わしめるほどです。
四足壺は9世紀後半から11世紀にかけて、緑釉 灰釉陶器として焼かれたものであり、もっぱら愛知県下の猿投窯 尾北窯などでつくられた尾張の特産物です。慈照院のそれはいうまでもなく、猿投窯産と考えられますが、現在知られる四足壺中の最優品です。