染付梅樹双鳥文花生

染付梅樹双鳥文花生
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話
染付梅樹双鳥文花生
染付梅樹双鳥文花生

高さ35.1㎝ 口径17.7㎝ 底径10.5㎝
 口部を喇眠に広げ、肩を張り、裾をすぼめ、高台を開いた器形は、明時代の花瓶の影響を受けたものと思われる。
胴の一方に大きく梅の老木を描き、頚部に槍梅風に枝を張らせ、左右に開いた太い枝には二羽の鳥を宿らせ、蘭と草花を右に、左に樹木をあしらい、背面には頚部と胴に樹木を描いているが、その表現はいささか戯画的である。
まことに興味深いのは、背面肩に「戊辰」の紀年銘が書されていることで、それは寛永五年と元禄元年にあたる干支であるが、全体を三段につないだ成形法、高台内の削込みの作風、さらに染付の描写などに古格がうかがわれる。
したがって、寛永五年に相当する作品ではないかと推測され、慶長年間後期に始まった肥前の染付も、約二十年を経過した寛永年間には、このような作品が作られていたわけで、その間の消息を知る工で貴嚢な資料である。

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