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鶴田 純久の章 お話
瀬戸 灰釉四耳壺
瀬戸 灰釉四耳壺

Seto ware: jar with four handles, ash glaze. 13th century. Height 21.7cm.
13世紀
高さ21.7cm 口径9.9cm 胴径18.5cm 底径8.8cm
 肩に耳四個を貼り付けた広口 いわゆる四耳壺は中世の瀬戸を代表する器形の一つであり、初期から末期まで最も長く焼きつがれた器種です。釉薬は灰釉を原則としていますが、室町中期以降しばしば鉄釉が施されました。いうまでもなく、このような四耳は中国宋代にその原型があり、平安末期に数多く輸入されて蔵骨器や経筒外容器として用いられました。鎌倉中期、瀬戸で大量に焼される以前、すでに平安末期以来、猿投窯や美濃須衛窯において焼かれていたことが近年明らかになってきました。
 この四耳壺は小ぶりながら、外反する口頭部、つよく張った肩の形状から推して古瀬戸初期の作品であり、鎌倉時代中ごろの作と考えられます。まだ器面に文様はなく、柚薬は単味で刷毛による塗りむらが目立ち、よく溶けてはいますが、なだれの多い釉調を示しています。素地は灰白色の良質の陶土を用いており、よく焼き締まって褐色の火色がほぼ全面に出ています。初期四耳壺の代表的作品の一つです。

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