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鶴田 純久の章 お話
瀬戸 灰釉瓶子
瀬戸 灰釉瓶子

Seto ware: vase, ash glaze. Excavated from Yadoko Ceramic Kiln, Yadoko-cho, Seto-shi, Aichi. 13th century. Height 28.0cm.
愛知県瀬戸市八床町八床窯出土
13世紀
高さ28.0cm 口径5.1cm 胴径16.7cm 底径8.0cm
 「細く、頭は短く、肩ひろく、腰にいたってやや狭くなった」形の瓶を中国では梅瓶と称しているが(「飲流斎説」) 宋代においてとくに好まれた形でした。古瀬戸の初期の子には本器のような直型のものと、つぎの図4のごとき型のものと二種類のものがあります。この形態の子はいずれも胴が長く、口縁部に内する斜めの縁帯をもつのが特色です。
 本器は明らかに宋代の梅瓶を模倣したものであり、著名な修武窯この白地黒落唐草文梅瓶と瓜二つの形をしています。耐火度の高い良の陶土を用いており、紐土巻き上げ、成形で、いかにも優美な形をしています。と口頭部の接合部をうまく生かして段を設け、一種の装飾としている点など心憎いばかりの技をみせています。焼成はきわめて良く、軸は灰単味ですが、還元による淡緑色の鮮やかな発色が、流条化する釉調と相俟って、本器をいっそう引き立たせています。初期瓶子の数少ない優品の一つです。

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