高さ8.6cm 口径13.5cm 高台径4.5cm
出光美術館
見込の深い天目形の茶碗で、 高台は小振りに削り出されていますが、唐物天目と異なって高台内も深く削り込まれ、 兜巾が立っています。
唐津の天目形としては古格を示すもので、おそらく絵唐津としても早い時期のものと思われます。 口に鉄釉をべたべたと塗りまわし、 内側にも鉄釉を数条ふりかけるように施し、外側には抽象的な文様を描いています。珍しいことに口まわりから内面のみに釉をかけ、外部は無釉です。 このような例は今までのところ見ていません。形は端正な天目形ですのに、 絵付と施釉はいかにも粗放であり、天目を伝統的に焼造した瀬戸や美濃の天目茶碗と違って、 唐津らしい素朴な作振りであるのがおもしろいです。
