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鶴田 純久の章 お話
越前 櫛目文甕
越前 櫛目文甕

Echizen ware: jar with comb-mark incisions. 14th century. Height 32.5cm. Fukui Prefectural Museum of Ceramics.
14世紀
高さ32.5cm 口径22.6cm 胴径35.9cm 底径18.0cm
福井県陶芸館
 口頸部をしぼったこの形態のものは通常、壺と呼び慣わしていますが、さきの嘉元四年銘のものと同形であり、銘文に 「か免」 と記されている以上、甕形態として扱うべきでしょう。この形態は本来、須恵器の甕に由来するものであり、中形甕の系譜をひくものでしょう。鉄分の多い、きめの細かい土を用いており、赤褐色の肌に越前特有の黄緑釉が薄くかかっています。肩に二箇所、四条の櫛目で描いた十字文様の刻文が施されていますが、単なる窯印というよりは装飾的効果を意識しているように思われます。口縁端部1.3cmの縁帯の内側はいわゆる樋口になっており、肩の張りや胴下半の形状からみて、13世紀後半に遡るものでしょう。底裏に下駄印を有します。

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