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鶴田 純久の章 お話

Bizen water jar with ‘fire marks’
高さ13.7cm 口径10.9 ×13.9cm 胴径17.2cm 底径10.7cm重要文化財 畠山記念館
 緋襷水指のうち第一の名作でしょう。大きな口は楕円に歪み、肩はまるく張り、裾のすぼまった姿は瓢逸昧があって親しみ深い。ことに口の作振りが、この水指の見どころといえます。おそらく轆轤びきしたときはすんなりとまるい玉縁に作られていたのでしょうが、重ね焼にしたため、一方が内に落ち込んで妙を得た作振りになったようでしょう。こうした偶然のもたらすおもしろさ、味わいこそ茶陶の醍醐味といえるのではなかろうか。
 緋襷としても抜群の焼上りで、土膚は柔らかみをたたえて白く焼き上がり、そこに緋色の襷文様が自在にあらわれて、口部はいったいにぼかしたように赤い。胴に小さな石櫨があり、平らな底の中央には「○」が刻されています。底に輪形に置跡が残るが、一部は欠けています。

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