西村道仁作。
筒状の釜で、口辺は甑口のように立ち上がり、胴の上部に唐獅子の鐶付を付け、下部を尾垂としている。
蓋は深い落込み蓋で、相輪形の摘みを載せている。
胴は荒肌で、古趣な感じを出している。
「九輪釜」の名は、五重塔の屋根上に置かれる九輪のうち、輪の部分ではなく、九輪を貫く柱(擦)を切って転用し、釜に仕立てたところからきている。
『太平記』に、塔の九輪をとって鑵子(釜)に鋳直したことが記されているのに由来するのであろう。
しかし「九輪釜」といえるものは、実際は擦の形を模してつくったというべきであろう。
【付属物】替蓋―二
【伝来】寸松庵
【寸法】 高さ:20.2 口径:14.0 胴径:16.6 底径:9.5