明代。
名物裂。
京都禅林寺(永観堂)所伝の白地角龍金襴の九条袈裟が本歌である。
白の地合いは入子菱の地紋を織り出し、体をくねらせた横向き龍がやや馬蹄形の龍詰紋に金糸で現わされている。
同系の中川角龍金欄に比して紋様は安定した感じが強く、地紋が裂に厚みをもたせ、金糸の発色も輝きがあり、上質で時代的にも最も古様を示し、明代初期の織製である。
同系の萌黄地の裂は船越角龍と称し、船越永景(1597~1670)の伝来とも伝えられ、緋地の裂は桑山金襴と称し、桑山宗仙(1560~1632)の所持といわれている。
船越永景は桑山宗仙の嗣子となり、茶を遠州に学び、石州とともに将軍家茶頭となった人物である。
【所蔵】 前田育徳会