明代。名物裂。武野紹鷗(1502~55)が愛用した裂で、紺と白の千鳥格子が一般に知られ、大名物「紹鷗茄子茶入」に添う片身替りの間道裂と同手のものである。天文十一年四月三日松屋久政の茶会記に、紹鷗の茶会「円座肩衝茶入」を間道の仕覆に入れて用いたとあるのが、間道を仕覆に用いた記録の初見である。また紹鷗から津田宗達に届けられた大名物「新田肩衝茶入」に格子縞の間道の仕覆をかけて、同十九年四月十七日茶会が催され、そのときの裂が紹鷗好みの裂であるとすれば、この手の千鳥格子の裂と思われる。いずれにせよ天文年間に紹鷗が好んで間道を用いたことは特筆すべきことで、他に例をみないのである。