清代。
名物裂。
唐桟はその産地により縞柄が異なり、南インド産のものを奥縞唐桟留と称し、赤糸入りの縦縞・蛇がたら縞・赤桟崩しなどがある。
桟留縞・唐桟留はインド東岸の Sao Thome (Eng. St. Thomas) という地名から出た名であるといわれている。
この裂は典型的な唐桟留で、白の二本線で赤の細縞を挟み、紺地に赤と白の線が浮き出たり沈んだり、視覚的な凹凸の変化をつくり出し、木綿の艶のない単調な感覚に、厚みと変化を与えている。
肌触りのよい、洒落た感覚が、粋を好んだ江戸末期の大衆の心を捉えたのであろう。
茶入挽家や茶碗の仕覆の裏裂として、また掛物・茶入内箱のなどの布張りにしばしばみることができる裂である。