人形手緞子 にんぎょうでどんす

人形手緞子
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鶴田 純久の章 お話
人形手緞子
人形手緞子

清代。
名物裂。
「大清乾隆年製」の款記のある三幅の裂を、横に二枚継ぎだすきたていとぬきいと合わせた戸帳仕立ての緞子の一部であり、唐子を立姿と座姿の二様に織り出しているのでこの呼称がある。
桃紅色の経糸に萌黄の緯糸を用いて玉虫風の地色を出し、手に毬をもつ唐子と花の折枝をかざすものと向かい合わまり坐して碁に興ずる姿を交互に織り出している。
織留部分は4.5センチに及び、すでに帛紗に仕立てられたものもある。
緯糸がゆるく、そのために紋様がよろけ、織技は精巧さを欠いているが、薄手の緞子として表具や仕覆にふさわしい裂といえる。
名物裂としては最も新しい「今渡り」の部に属する裂で、乾隆年間(1736~95)前期のものであろう。

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