伝牧谿筆。
重文。
一枝に四つの栗の実、五枚の葉を画いている。
柔軟な水墨の筆致が、硬い栗棘を表現している。
『天王寺屋会記』によれば、「柿絵」(595頁上)と対幅として、京都新在家の茶匠曲庵(号養花)が所持していたもので、のち大徳寺龍光院に入った。
中国画院における身近な素材を画いた写生図巻の断簡が表装され、鑑賞画として珍 重さ:れたものと思われる。
墨色によって彩色画に勝る表現に成功しているが、栗の精を写すものではなく、よくその意を表わしている。
「柿絵」とも、「菓子牧谿筆」の外題と、「栗外題能阿弥、柿外題興師(江月)」の翠巌宗珉筆の箱書がある。
【寸法】画面―縦35.0 横33.0
【所蔵】 大徳寺龍光院