牧谿筆。
国宝。
瀟湘八景図の内。
中国北宋代山水画のもつ大観性を基調としながら、筆を思わせる粗放な筆致の中に、夕暮れの湖畔を包む大気と光の醸し出す微妙な自然の情感を表現したものである。
湿潤にして不透明大気を通して、日没前の低い太陽から斜めに到達した光の束が三条、右下隅の小村落にとどいているさまは絶妙で、自然のもつ律動の一齣であり、いながらにして瀟湘に遊ぶ想いのする名画である。
牧谿の詳しい経歴は不明だが、牧谿画の真髄を正当に評価したのは日本人であった。
【伝来】足利家徳川家康 徳川頼宣 松平頼純
【寸法】 全体 縦138.0 横125.3 画面縦33.0 横112.7
【所蔵】根津美術館